2004年、当社が独自開発した完全WebベースのERPパッケージ「GRANDIT」は、当時日本の商習慣にあったERPがなかったため、「もっとユーザー視点の使いやすいERPを開発しよう」という想いから生まれた製品です。以後、市場からは高い支持を得ながらも、「顧客視点に立つ」姿勢を常に追求し進化を遂げています。ここでは、GRANDITのチーフエンジニアに登場頂き、入社以来GRNADITの開発を通して、どのようなキャリアを歩んできたのかについて熱く語ってもらいました。

基礎レベルからのスタート

私は大学の専攻が情報学科だったこともあり、ごく自然にIT系企業で働きたいと考えていました。インフォコム入社の決め手は、事業領域が広く、ERP開発、ヘルスケア、ネットビジネスとどの事業をみても魅力的に感じたことが理由でした。入社してから現在まで12年間GRANDITの開発に携わっています。

 

情報学科で学んだとはいえ、技術としてはあくまで基礎レベルからのスタートでした。GRADITで使用しているプログラミング言語は「C♯.NET」「JavaScript」「Transact-SQL」と数も多く、馴染みのないものばかりでした。そこで、まずは社内外の研修に参加し勉強をしながら、先輩社員から与えられる課題用アプリケーションの作成に取り組む日々を過ごしていました。

実際にGRANDITに関わるようになったのは、事業部に配属されてから3カ月ほどたった頃です。最初に任されたのは製品に不具合がないかチェックするテスト工程です。いつ、どのようなコマンドで不具合が生じるのか、実際にシステムを走らせてみないと分かりません。そのため、少しずつ異なる条件でのテストを何度も繰り返し行います。

 

正直に言えば大変でしたが、私はこの仕事がとても面白く感じました。というのも、システムを開発するには先ず機能や構造を理解する必要がありますが、新人の私にはさっぱりです。ですからこの機会を活かして、機能や構造を詳しく理解してやろうという目標を持ち取り組んだのです。するとテストを通じて徐々に全貌が理解できるようになり、その経験は後に開発を担当するときに、大いに役に立つことになりました。

IFRS対応のプロジェクトに参加

入社5年目、仕事にも慣れ始めた頃、日本でもIFRS(国際会計基準)へ順次移行するという話が頻繁にされるようになり、GRANDITも今後のIFRS対応に備え、資産管理機能のテーブル構造や計算処理を見直すというプロジェクトがあり、私もそこに携わることになりました。元々の仕組みが複雑であった事もあり、仕様通りにプログラムを実装しても想定した結果と異なることが多く、実装の不備なのか仕様を見直す必要があるのか試行錯誤の繰り返しで、時間も頭も使う非常にハードなプロジェクトでした。

 

一方で、それまでの「与えられたものを組む」ということから、「どうすれば求めている答えにたどり着くのか」について自ら考え実行するといったように、自分に求められている能力が変わったことを実感し、身の引き締まる思いでした。

簿記検定2級の取得

システム周りの専門知識は業務を通して高めていきましたが、会計業務に関する知識は入社後に取得した簿記検定3級程度のレベルでした。開発業務に通用しない訳ではありませんが、もっと自分が担当する業務知識を磨く必要性を強く感じ、自信を付ける意味で簿記検定2級の取得を目指し、独学で勉強しました。2級は原価計算など製造活動の記録を取り扱う工業簿記が必要となります。

 

正直に言えば簿記の勉強自体は大変ですし決して面白いとは言えませんでした。ただし、会計の理解を深めることは大きな意味を持ちました。GRANDITも最終的には仕訳や決算書を作成しますので、逆算して仕様を考えシステムを作るという力が身についたことは大きな収穫でした。

自分の設計が世の中で多くの人に使われる魅力

エンジニアというと机の上で黙々とパソコンに向かって仕事をするというイメージがあるかもしれませんが、そればかりではありません。上流工程では仕様の決定などを行う際に、パートナーさんの前で設計したシステム内容の説明を行うなど人前で話す機会が多々あります。私は人前で話すことは得意ではありませんでしたが、入社してからは現場で鍛えられました。人に説明する力を身に付けることは、目標とするプロジェクトマネージャーになる上では、必須の要件です。

システム開発全般に言えることかもしれませんが、この仕事の魅力は、ユーザーやパートナー企業の要望を基に、自分の考えた仕様が、GRANDITに機能追加され、リリースされることで多くの方に使ってもらっているということです。自分で組んだプログラムが初めて正常に動いたときの感動は未だに忘れられません。

 

また複数の開発言語を用いるためエンジニアとしてのキャリアを重ねると同時に、仕様を考えるために実務や会計など総合的な知識を深めることができます。覚えることは多いですが、産業経済の中枢を支えるシステムに関わっている社会的な意義を強く感じながら働くやりがいを感じています。

 

学びということでは、自分のプログラミングの技術を高めることも重要ですが、人に頼ることも大切です。頼るというと全てお任せする様に聞こえますが、どうしても乗り越えられない壁にぶつかったときは、いつまでも自分で抱え込まず、周囲にいる専門家に尋ねることも重要です。案外、突破する鍵は自分の外にあることが多いものです。

志高く、謙虚に学ぶ心を

今私は、プロジェクトリーダー(PL)の立場にありますが、次は、プロジェクトマネージャー(PM)を目指しています。入社当時、専門性も拙くプログラム一つ満足に組めなかった自分から見れば、PMは自分とは別次元のスーパーマンに見えました。しかし、入社10年を過ぎ、気が付くとあと一歩の所まできました。これを読んで頂いた皆さんも、志高く努力を怠らずに続ければ、必ず道は拓けます。そんな謙虚な学ぶ気持ちを持った方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。